久しぶりの夜の沢2017年02月04日

 友人と一緒に久しぶりに夜の沢に入りました。ここしばらく雨が少なかったためか沢の水量は少なめでした。

水辺

 沢に出てきているカエルも少なめで、ハナサキガエルとナミエガエルを数個体ずつ見たのと、たまにオキナワイシカワガエルやオキナワアオガエルが鳴いている程度でした。

ナミエガエル

 沢をまたぐ倒木の割れ目でコガタスズメバチがじっとしてました。

コガタスズメバチ

 沢の入り口の下流側でハナサキガエルが少し鳴いていたので下りてみました。体が急斜面の下り方をすっかりと忘れていて鳴いている場所まで行くのはちょっと厳しそうな感じでしたので、友人がハナサキガエルの鳴いている場所へ行き、私は手前で待つことにしました。待っている間に近くの岩に白っぽくなった落ち葉があることに気づきました。落ち葉からとても小さなキノコが2個生えていました。

光る落ち葉

 ライトを消してしばらく闇に眼を鳴らすとうっすらと落ち葉が光っていましたが、落ち葉から生えているキノコは光っていませんでした。

光る落ち葉(発光)

 これからこの沢のハナサキガエルが繁殖すると思いますが、上流では全く鳴き声が聞こえなかったので繁殖はしばらく先になりそうな感じでした。
 以前から気になっていたことですが、一部の人たちが撮影で入った後にカエルの繁殖がおかしくなったのを何度か見ています。例えばハナサキガエルが散乱場に集まって盛り上がり始めた時に居座って撮影したために集まったカエルが散ってしまい、その後1週間以上かけて小規模な産卵が続いたことがありました。本来なら一斉産卵なのですが、ハナサキガエルの行動に影響を与えてしまった例です。
 夜行性の爬虫類や両生類は、しばらく光を当てたり強い光を当てると瞳孔がすぐに小さくなってしまいます。近づき方が悪いと伏せたり、身構えてこわばった姿勢になったり、時には身の危険を感じて攻撃態勢になります。探索時のライトの光量を最低限にしたり、ライトを当てる時間を極力短くする、赤ライトを使う(光量が強いと赤ライトでも瞳孔が小さくなる)、短時間でピントを合わせて、1枚目で確実に決めるようにするという配慮が無いと不自然な写真を量産することになってしまいます。

瞳孔が少し閉じたハナサキガエル。撮影時に何度かフラッシュを当てたり、しばらくライトを当てるとカエルはまぶしくて瞳孔を閉じてしまいます。

ヒメハブもカエルと同様に瞳孔を閉じてしまいます。

 何年か前に大手放送局が取材に来た後で、オキナワイシカワガエルの卵があった穴の入り口に演出のために苔むした石が敷き詰められ、穴の入り口を近くに生えていたオニヘゴの葉で見えないように塞がれていました。いくら作品のためといえども、プロだから何でもかんでもやっていいという風潮はいいものとは思えません。

 この沢のカエルやヘビが昔と比べて警戒心が強くなっていてすぐに逃げたり姿勢を変える個体が増えているように感じます。このまま一部の撮影者の横暴な撮影が続くと、更に動物の警戒心が強くなり撮影が難しくなりそうな気がします。

 10年近く前に行った普段人があまり訪れない砂浜で大きなアカマタが砂の中にいるウミガメの子を食べている写真を撮っていたら、私のすぐ横にいつのまにか一回り小さなアカマタがいて、このアカマタは人に警戒している雰囲気がありませんでした。山道や林道沿いでここまで警戒心のないアカマタを見たことが無かったので、人が動物に警戒心を植え付けてしまった部分もあるのかなと思いました。

アカマタ

 生き物に限らず、写真を撮らせてもらったら被写体に対して感謝の気持ちが大切ではないかと思います。感謝の気持ちが無いから生き物に配慮できない行動になってしまうのかなと思います。被写体に対して暴君になったり、自己中心的な撮り方ならないように日々気を付けないといけないと改めて思いました。